なぜベビーブランドはライブコマースに強い?

執筆
Jay
編集
Roanne
育児は買い替えの周期が短く、信頼が購入を左右します。ライブコマースといちばん相性のいいカテゴリーです。
MomQ・ベビービリー・コニーなどの育児ブランドは、コミュニティのファンダムと自社ECライブをつないで実際の売上をつくっています。
ライブは自社チャネルとして働きます。ファンダムを再購入に戻し、顧客データをブランド側に残せます。
少子化と消費の冷え込みで育児産業全体が縮むなか、ライブコマースを成長エンジンに変えている育児プラットフォームがあります。買い替えの周期が短く、コミュニティの信頼に大きく依存する育児カテゴリーの特性が、リアルタイムのやり取りで信頼をそのまま購入に変えるライブコマースと噛み合いました。育児ブランドがなぜライブに強いのか、その強みをどう売上に変えているのかを見ていきます。
育児用品がライブコマースと相性のいい理由
他のカテゴリーではあまり重ならない2つの条件が、育児では重なります。買い替えが早いこと、そして買い間違いを恐れることです。
おむつ・粉ミルク・おしりふきのように毎月買い直す消耗品が多く、一度信頼を得たブランドは選ばれ続けます。子どもに使うものなので成分や安全性を確認したい気持ちが強く、売り手とのやり取りが購入の決め手になります。買い替えの短さと、安心を求める基準の高さ。この2つがそろうカテゴリーは多くありません。
育児ブランドがライブコマースに強い理由はここにあります。一度の配信で信頼を得れば、その顧客は翌月も戻ってきます。
新生児用品を買うとき、親は何を確認しているのか
初めての親は、哺乳用品、離乳食の道具、チャイルドシートの安全基準など、基準がわからないまま選択を繰り返します。しかも子どもの成長段階ごとに、新しいカテゴリーの「はじめての購入」が何度も始まります。新生児期が終われば離乳食、離乳食が終われば幼児食や入園準備へと消費が移ります。だから親は商品情報だけを見ません。先に経験した人の判断を探します。育児コミュニティでレビューを読み、同じ月齢の子を育てる親の言葉を確かめます。
ただ、商品ページとレビューだけでは安心しきれません。商品ページには客観的なスペックしか書かれておらず、レビューは自分の子の状況とぴったり一致しません。自分の子に合わせた質問へその場で答えてくれる窓口が必要ですが、それがないまま迷うことになります。
育児ブランドのファンダムが売上につながらない理由
多くの育児ブランドは、すでに自社アプリやコミュニティに厚いファンダムを持っています。強みははっきりしています。問題は、今の売り方がその強みを活かせていないことです。多くは商品ページに頼るか、外部プラットフォームでライブを開きます。どちらも顧客に購入の確信を与えられません。
商品ページは細かい質問にリアルタイムで答えられません。育児用品の購入でいちばん大切な「安心させる会話」が成立しないままです。オープンマーケットなど外部プラットフォームでライブを開けば会話はできます。ただし顧客データはプラットフォーム側に残るため、積み上げた信頼も配信が終わった瞬間に消えます。配信後に疑問が出ても、視聴者がそのブランドに戻る道がありません。時間をかけて築いた信頼が、配信一度で終わってしまいます。
結局どちらも、ファンダムが再購入に戻ってくる経路をつくれていません。再購入がとりわけ重要な育児カテゴリーでは、この途切れた導線が他のカテゴリーより大きな損失になります。コミュニティの信頼を売上につなげた例はオヌルジプ(Ohouse)のライブコマースでも確認できます。育児カテゴリーでその経路をつくったのが、ベビービリー(Baby Billy)とコニー(Konny)です。
ベビービリーがライブコマースで証明したこと
妊娠・育児プラットフォームのベビービリーは、Shopliveで自社アプリ内のライブを運営しています。コミュニティで積み上げた親たちの信頼とトラフィックを、そのまま配信につないだ形です。ライブに参加した一部のブランドは、この配信で自社の時間あたり売上の最高記録を出しました。
ベビービリーを運営するビレッジベイビーは、ライブコマースを含むコマース事業で2025年に当期純利益2億ウォン(約2,120万円)を計上して年間黒字を達成し、2026年第1四半期には営業利益3億ウォン(約3,180万円)を超えて5四半期連続の黒字を続けています。会員数は200万人以上、累計取引額はおよそ1,000億ウォン(約106億円)規模です。

少子化で市場が縮む局面でも実績が持ちこたえた理由ははっきりしています。コミュニティで生まれた信頼が、配信というリアルタイムの接点を得て、そのまま購入に変わったからです。
「少子化と消費の冷え込みで育児産業全体が厳しいなかでも、実際に購入が発生するプラットフォームとして定着した」ビレッジベイビー(マネートゥデイ、2026年6月10日)
育児では、ファンダムとコミュニティ、そしてライブをひとつの流れにまとめたときに売上が立ちます。
実店舗を持たないコニーは、ライブをどう使っているのか
抱っこ紐ブランドのコニー(Konny)に実店舗はありません。実物を見たい、どう使うのか知りたい、という要望が届き続けても、見せる場所がありませんでした。コニーが自社ECでライブを始めた理由です。
「商品を直接見て、触って買いたいというお客様が多く、それをライブで解決しています。」コニー マーケティングマネージャー
コニーは年に一度の感謝祭に合わせてライブコマースを活用しています。感謝祭期間の売上は前年比250%、平均購入単価は102%を記録しました。配信中はライブ限定クーポンを使い、最大80%オフの感謝祭にさらに500円引きを重ねました。いま買う理由を配信のなかでつくったわけです。配信後は1本のライブを切り出してハイライトクリップ形式のSNS動画を5本以上作り、一度の配信が継続的な流入を生みました。
コニーがShopliveを選んだ理由のひとつは、社内の人員だけで扱えるという判断でした。実際に配信コンソールの画面は運営担当者から高い評価を受けています。コニーは店舗も大きな制作チームもないところから始めました。あったのは、ブランドをすでに好きな親たちと、自社ECひとつです。
ファンダムを自社チャネルの中で売上につなぐ流れが、実際にどう回るのかを示す事例です。
キッズ・ベビーのライブで必ず使いたいShopliveの5機能
まず、ライブを自社チャネルの中で始めることです。ブランドが持つコミュニティとファンダムを離脱なく再購入につなぐ自社ECライブの形で設計します。ライブを検討しているなら、次の5つから準備してみてください。
1.
PIPとSDKで視聴と購入を途切れさせない育児用品は確認することが多く、親は配信中も成分表・レビュー・別の商品画面を行き来します。ここで配信が止まれば、視聴者はそのまま離脱します。画面を移動しても小さなウィンドウで再生が続くPIPと、自社アプリにライブ機能を組み込むアプリ内SDKを使えば、「確かめながら買う」動きが途切れず売上につながります。
2.
リアルタイムチャットとQ&Aで不安をその場で解く育児用品のライブには「うちの子の月齢だとどうですか」といった個別の質問が集まります。リアルタイムチャットとQ&Aで想定質問を用意し、配信中にライブホストがその場で答えれば、信頼が積み上がって購入につながります。
3.
ライブクーポンと購入通知でまとめ買いを促すおむつ・粉ミルク・おしりふきのように早くなくなるものは、条件がいいときに多めに買っておく傾向があります。配信中だけ開くライブクーポンとリアルタイム購入通知ポップアップで「いま買うほうが得だ」と伝われば、一度に複数個がカートに入ります。
4.
ショートフォームとアーカイブで配信後の購入につなぐチャイルドシートやベビーカーのように価格が高く長く迷う高関与商品は、パートナーと相談したり、後で見直して決めたりします。アーカイブ(VOD)とライブのリンクを共有し、配信後も購入が続くようにします。視聴時間とコンバージョン貢献をあわせて追えば、どの配信が購入につながったのかがわかり、その記録が次の配信を設計するファーストパーティデータになります。ライブのデータをCRMにつなぐ方法はライブコマースCRMで詳しく扱いました。
5.
リアルタイム字幕(STT)で音を切った視聴者にも届ける育児のライブは夜10時以降に視聴が集まります。日中は仕事があり、子どもを寝かしつけたあとにようやく買い物の時間ができるからです。ところが、その時間帯は音を出せません。隣で子どもが寝ているからです。Shopliveのリアルタイム字幕は、音を切った視聴者にも同じ情報をそのまま届けます。ライブホストの説明を目で追って、購入の判断材料にできます。
この5つは、育児の配信でとくに効果が大きい機能です。
よくある質問(FAQ)
Q. 育児用品がライブコマースと相性がいいのはなぜですか。
育児用品はおむつや粉ミルクのように買い替えが多く、成分や安全性など製品情報を確かめたい気持ちが強いカテゴリーです。リアルタイムの質問と回答で疑問を解消し、信頼を高められるため、ライブコマースと相性がいいと言えます。
Q. 少子化で育児市場が縮んでいますが、ライブコマースに効果はありますか。
出生数は減っていますが、一人の子どもにより多く投資する「ゴールドキッズ」型の消費が広がり、プレミアムで信頼できる製品を中心に市場が組み替わっています。育児用品は価格よりも安全性・成分・品質・ブランドへの信頼が重視されるため、製品の価値を説明し、質問にその場で答えられるライブコマースが有効な販売チャネルになります。
Q. 外部のライブ配信プラットフォームと、自社アプリ・自社ECのライブは何が違いますか。
外部プラットフォームはすぐに配信を始められ、集客も見込めます。一方で自社アプリ・自社ECにライブを組み込むと、視聴・チャット・商品クリック・購入のデータを自社の顧客データにつなげられ、コミュニティから購入までをひとつの体験にできます。
Q. ファンダムとコミュニティはありますが、配信の制作体制がありません。それでも始められますか。
始められます。専門的な配信環境を最初から用意する必要はありません。Shoplive Studioを使えばスマートフォンから配信でき、自社ECはCafe24やShopifyなど主要なコマースプラットフォームと連携して、自社サイトの中でライブを運営できます。まずはスマートフォンと既存の自社ECだけで始め、配信データを積み上げながら内容と制作環境を段階的に整えていく進め方をおすすめします。
Q. 成分や安全性に関する質問には、どう答えるべきですか。
育児用品では情報の正確さがとくに重要になります。配信前に想定質問と回答を用意し、成分・安全性・使い方といったデリケートな情報については、ブランド担当者や専門家の確認を経た回答だけを伝えるようにします。
Q. 育児のライブ配信は何時ごろに行うのがよいですか。
育児層は午前や日中にも買い物をしますが、子どもを寝かしつけたあとにゆっくり視聴して買い物をする夕方から夜の時間帯も大きな機会になります。とくに夜は音を出しにくい状況で見ている人が多いため、字幕と画面内の要点表示を強化し、チャットで質問を受けられる構成が効果的です。
参考資料
妊娠・育児プラットフォーム「ベビービリー」、5四半期連続の黒字、マネートゥデイ(2026年6月10日)
世界の親をファンダムに:国民的抱っこ紐となったコニー、韓国経済新聞(2026年5月28日)
サムジョンKPMG「キッズ産業は安全性・機能性を備えた高付加価値戦略が必須」、アジア経済(2025年3月10日)、レポート「少子化時代のゴールドキッズが牽引するキッズ産業」より


