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ライブコマースのCRMはECのCRMと何が違うのか

ライブコマースのCRMはECのCRMと何が違うのか。青い背景にCRMの文字と2つの吹き出しを配したShopliveブログのカバー画像

執筆

Lucid

編集

Lucid

💡 この記事の要点

  • ライブで発生する視聴・参加のデータは集計として残るだけで、顧客ごとの行動データとしてCRMまで届いていません。

  • ECのCRMが顧客個人の時間軸で動くのに対し、ライブコマースのCRMは「配信」という共通の時間軸の上で、視聴・参加・再訪を基準に顧客を分けます。

  • 20分見た顧客と2分で出た顧客を分けられるようになると、ライブは販売チャネルから顧客データをつくる接点に変わります。

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1回のライブ配信に、数千人が入ってきます。20分見る人もいれば、2分で出ていく人もいます。クーポンを受け取る人もいれば、クイズに答える人もいます。

ところが配信が終わって残るのは、たいてい「何人が見て、いくら売れたか」という集計数字です。誰が長く見たのか、誰がクーポンを受け取ったのか、誰が繰り返し訪れているのか、配信中のどの質問に反応したのか。こうした情報はCRMで使える形になっていません。

原因はCRMツールではありません。ライブで生まれた顧客の行動データが、CRMのセグメントや自動化につながっていないからです。ライブコマースのCRMをECのCRMと分けて設計する理由は、ここから始まります。

ライブコマースCRMとは、配信中の視聴や参加といった行動を顧客単位のデータとして記録し、いま使っているCRMのセグメントや自動化につなげる考え方です。新しいCRMツールを導入する話というより、手元のCRMに「配信」という行動軸を1つ足す話に近いです。

ライブの視聴者を見分けられないのはなぜか

2人を見分けるためのデータが、CRMに届いていないからです。

視聴者3,000人が入った配信を例にします。配信が終わると、購入した人は購入履歴として残ります。では購入しなかった人はどうでしょうか。最後まで20分見た人も、始まってすぐ2分で出た人も、翌日には同じ顧客として扱われます。CRMから見れば、どちらも「購入しなかった顧客」でしかありません。

しかし実際の行動はまったく違います。

  • 20分視聴 → 関心が高い可能性

  • 2分視聴 → 関心が低い、または内容が合わなかった可能性

  • クーポン受け取り → 購入意向、または特典への関心

  • クーポンを受け取ったまま未使用 → 関心はあるが購入を決めきれていない状態

  • 繰り返し視聴 → 継続的な関心の可能性

  • クイズ・アンケートへの回答 → 顧客が自分で示した関心

この違いをCRMが把握できなければ、結局は全員に同じメッセージを送ることになります。CRM担当者がセグメントを作り損ねたのではなく、セグメントを作れるデータを活かせていないのです。

ライブの記録がCRMまで届かないのはなぜか

ライブのデータと従来のCRMデータは、そもそも形が違います。CRMが扱い慣れているのは、登録日、購入履歴、会員ランク、最終購入日のように長く残る顧客属性です。一方、ライブで発生するのは、配信の1時間で一気に生まれて消えていく行動イベント(Event)に近いデータです。たとえば次のようなものです。

  • LIVE_JOIN:配信への入室

  • LIVE_VIEW:視聴時間の蓄積

  • LIVE_EXIT:配信からの離脱

  • COUPON_RECEIVED:クーポンの受け取り

  • COUPON_USED:クーポンの利用

  • QUIZ_SUBMITTED:クイズへの回答

  • SURVEY_SUBMITTED:アンケートへの回答

  • PURCHASE_CONFIRMED:購入認証(配信中に購入したことを本人が申告する機能)への参加

大事なのは、こうしたイベントが発生した事実そのものではありません。誰が、どの配信で、いつ、どれくらい、何に反応したのかまでつながって、はじめてCRMで使えます。

多くのブランドは、すでにCRMをうまく運用しています。韓国では、KakaoTalkのアカウントで会員登録できるカカオシンクで顧客を集め、アプリプッシュやアラームトークでメッセージを送り、CRMプラットフォームでセグメントを作ってキャンペーンを回す形が一般的です。足りないのは、その手前です。ライブで起きた顧客の行動を、CRMが読める形のデータに変える部分が抜けています。

CRMツールはデータを活用する道具で、ライブのデータを自分で作り出す道具ではありません。どれだけ優れたCRMを使っていても、ライブの行動データが入ってこなければ、視聴者は結局「アプリを訪れた顧客」か「購入しなかった顧客」のどちらかとして残ります。

いまのCRMは視聴者をどこまで把握しているか

ECのCRMには、すでに多くの顧客行動データがあります。アプリ起動、商品閲覧、カート追加、購入、検索、お気に入り登録などです。これだけでも顧客を十分に分けられます。

ただし、その多くは間接的な関心のシグナルです。商品ページを見たからといって買いたいとは限りませんし、カートに入れたからといって必ず購入するわけでもありません。

ライブは少し違います。20分間配信を見たという事実は、推測ではなく実際の行動です。その時間に別のコンテンツを見ることも、アプリを閉じることもできたのに、この配信を見続けた記録が残ります。ライブのデータは、既存のCRMの行動データを補う新しいシグナルになります。

ライブでしか取れない顧客シグナルとは

視聴時間、繰り返し視聴、クーポンの受け取りと利用、クイズ・アンケートの回答、そしてどの配信を見たかです。いずれも一般的なWeb・アプリの行動ログには残りません。

  • どれくらい見たか > 視聴時間は、関心の強さがいちばん直感的に表れるシグナルです。20分見た顧客と2分見た顧客を同じように扱う理由はありません。

  • 何回来たか > 一度だけ訪れた顧客と、複数の配信に繰り返し来る顧客は違います。繰り返し視聴は、単なる訪問よりも継続的な関心と再訪の可能性を示します。

  • クーポンを受け取ったか > ライブクーポンを受け取ったということは、配信中の特典に反応したということです。とくにクーポンを受け取ったまま使っていない顧客は、購入の可能性はあるがまだ決めていない層として、別のセグメントにまとめられます。

  • 何に答えたか > ライブクイズやアンケートは、顧客の関心を直接集められる方法です。商品閲覧データから関心を推測するのと、顧客が自分で選んだ回答を使うのとでは、確かさが違います。

  • どの配信に繰り返し来たか > ファッション配信に繰り返し来る顧客、ビューティー配信に繰り返し来る顧客、特定ブランドの配信に繰り返し来る顧客を分けられます。これが積み上がると、購入履歴だけでは見えないコンテンツへの関心までCRMに加えられます。

区分

既存のCRMデータ

ライブの行動データ

関心のシグナル

商品閲覧、カート追加

視聴時間、繰り返し視聴

好み

購入履歴からの推測

クイズ・アンケートの回答

購入意向

カート追加

クーポン受け取り、購入認証

エンゲージメント

アプリ訪問回数

配信への参加、繰り返し視聴

離脱

正確には分かりにくい

何分で離脱したか

コンテンツへの関心

購入カテゴリー中心

視聴した配信・コンテンツ中心

こうしたデータは、放っておいて溜まるものではありません。配信中に視聴者が行動する場面をつくり、その行動を顧客単位で記録する必要があります。お知らせ、クーポン、クイズ、アンケートといったインタラクションが、そのデータを生む仕掛けです。Shopliveでも、この4種類のポップアップを配信中に表示できます。詳しくはライブコマースのポップアップ活用・応用編をご覧ください。

ECのCRMとライブCRMの最大の違いは何か

最大の違いは時間軸です。ECでは顧客ごとに行動する時間が違います。昨日カートに入れた顧客、今日商品を見た顧客、90日前に購入した顧客が、それぞれ別のタイミングで存在します。そのためCRMは顧客個人の行動時点を基準に動きます。

  • カート追加 → 3時間後にリマインド

  • 購入 → 30日後に再購入メッセージ

  • 最終購入 → 90日後に休眠顧客として分類

ライブは違います。数千人の顧客が同じ時間に同じ配信へ入り、同じ内容を体験します。ライブでは顧客個人の時間軸だけでなく、配信という共通の時間軸も見る必要があります。

基準

ECのCRM

ライブコマースのCRM

時間軸

顧客個人の行動時点

配信の時刻

中心となる単位

顧客のライフサイクル

配信の回

セグメント

新規・アクティブ・休眠・VIP

初回視聴・繰り返し視聴・連続参加

メッセージのタイミング

個人の行動を基準にする

配信前・配信中・配信直後

中心となる行動

閲覧・カート追加・購入

視聴・参加・クーポン・再訪

主に見る指標

購入転換・再購入

再視聴・参加・出席・購入転換

データが効く期間

比較的長い

配信直後がとくに重要

たとえば「直近30日の購入なし」は、一般的なCRMでは大切な休眠シグナルです。しかし月に1回だけ配信するブランドなら、それだけでライブへの参加可能性は判断できません。逆に「直近3回の配信にすべて参加した」は、ライブではとても強い行動シグナルですが、一般的なECのCRMには存在しないセグメントです。

ライブCRMは、別のCRMツールというよりいま使っているCRMに「配信」という行動軸を足すものと捉えたほうが正確です。

Eventで終わらせず、Segmentまでつなぐ理由

ライブのデータをCRMに入れるだけでは足りません。そのデータを実際のセグメントとキャンペーンにつなぐところまでが必要です。たとえば次のようにつながります。

例1. 20分以上見たが購入しなかった顧客

  • EventLIVE_VIEW、視聴時間20分

  • Segment・直近7日以内にライブを20分以上視聴し、購入していない顧客

  • Trigger・配信終了から1時間以内

  • Message・見逃し配信のリンクと配信中の特典案内

例2. クーポンを受け取ったまま使っていない顧客

  • EventCOUPON_RECEIVED、クーポン未使用

  • Segment・配信のクーポンを受け取ったが使っていない顧客

  • Trigger・クーポンの有効期限24時間前

  • Message・有効期限のお知らせ

ここまでつながって、ライブのデータがCRMの資産になります。ライブCRMの要点は、新しいメッセージチャネルをつくることではありません。いまのCRMが使える新しい顧客シグナルをつくることです。

なぜ「次の配信への参加」を見るのか

ライブには、次に会う時間があらかじめ決まっているからです。一般的なECでは、顧客がいつ再訪するか分かりません。そのためCRMの役割は、戻ってくるように働きかけ続けることになります。

ライブは違います。次の配信の日時がすでに決まっています。CRMの目標も「いつか戻ってきてもらう」から「次の配信に来てもらう」へと具体化できます。ライブでは購入転換率だけでなく、次の指標も一緒に見る必要があります。

  • 再視聴率:一度視聴した顧客のうち、次の配信にも来た割合

  • 連続参加率:複数回の配信に連続して参加した割合

  • 事前集客率:配信開始の時点ですでに入室している顧客の割合

  • 参加率:クーポン、クイズ、アンケートなどに参加した割合

  • 再購入率:ライブを視聴または参加した顧客の、その後の購入割合

これらを見る理由は単純です。次の配信に戻ってくる顧客が増えるほど、購入が生まれる機会も増えるからです。購入転換率に代わる指標ではなく、購入転換をつくる手前にある指標だと捉えるほうが実態に合っています。

同じ視聴者を毎回広告で連れてくる理由は何か

前回の配信で誰が反応したのかが分からないからです。配信を告知するために広告を出します。人が入ってきて、見て、出ていきます。次の配信が始まればまた広告を出します。前回20分見た顧客も、新しい見込み客と同じように扱われてしまいます。

ライブのデータをCRMにつなげられれば、話は変わります。たとえば、こうした顧客グループを別に作れます。

顧客グループの例。前回の配信を20分以上視聴・購入なし・直近30日に再訪なし

この顧客には、新規獲得の広告よりも再訪を促すメッセージのほうが合います。反対に、こういう顧客もいます。

顧客グループの例。直近3回の配信に参加・クーポン利用・購入経験あり

この顧客は一般的なプロモーションの対象ではなく、ライブのVIP、あるいはロイヤル顧客として管理するほうが向いています。ライブのデータの価値は、広告費を減らすこと自体よりも、すでにブランドに関心を示した顧客を見つけ直して活かせるファーストパーティデータである点にあります。顧客一人から長く売上をつくること(LTV)が目標なら、なおさらです。

この記録があると何が変わるか

ライブの視聴者を行動と参加回数で分けると、送るべきメッセージも変わります。

ライブでの行動

CRMセグメント

おすすめの施策

20分以上視聴+未購入

関心層

配信終了後に見逃し配信と特典を案内

クーポン受け取り+未使用

購入を検討中の層

有効期限前にリマインド

直近3回以上視聴

ライブの常連

次の配信の事前告知と先行公開

前回参加+今回は未参加

離脱リスクのある層

配信中にリアルタイム通知

クイズ・アンケートに回答

関心が分かっている層

回答カテゴリーに合わせた提案

購入認証に参加

ライブでの購入者

レビュー依頼と再購入キャンペーン

こう見ると、ライブのデータは単なる配信レポートではありません。顧客を分け直し、次の行動を設計できるCRMのデータです。

ライブ配信、1時間が終わって何が残るのか

ライブは、ブランドが顧客ともっとも長く、もっとも近い距離で向き合える場です。しかしこれまで多くのブランドにとって、ライブの成果は視聴者数、取引額、購入転換率という数字だけで残ってきました。本当に大事な問いは、その次にあります。誰が長く見たのか。誰がまた来たのか。誰がどの特典に反応したのか。誰が何に関心を示したのか。そしてその顧客に次は何を送るのか。

ライブを販売チャネルとしてだけ見れば、配信が終わった瞬間に顧客データの価値も終わります。顧客の行動が生まれるCRMの接点として見れば、配信の1時間が新しい顧客データをつくる時間になります。

前回の配信に来た人のうち、今日、名前を呼べる人は何人いますか。

ライブでどんな顧客シグナルをつくれるのかから見てみたい方は、Shopliveのポップアップ機能を100%活用するをご覧ください。ライブコマースの基本から整理したい場合は、ライブコマース完全ガイドも参考になります。

よくある質問

Q. ライブコマースのCRMは、既存のECのCRMと何が違いますか。

最大の違いは時間軸です。ECのCRMは顧客個人の行動時点を中心に動きますが、ライブのCRMは配信という共通の時間軸も一緒に見ます。そのため顧客のライフサイクルだけでなく、配信の回、視聴、参加、再参加といった行動をセグメントに使えます。

Q. すでにCRMツールを使っていますが、新しいツールが必要ですか。

多くの場合、新しいCRMツールが要点ではありません。いまのCRMがライブの行動データを受け取り、セグメントやキャンペーンに使えるようにつなぐことが大切です。

Q. ライブではどんなデータを活用できますか。

視聴時間、繰り返し視聴、配信への参加、クーポンの受け取りと利用、クイズ・アンケートの回答、購入認証など、配信中に発生するさまざまな行動データを活用できます。ただし実際に使えるデータや個人を識別できる範囲は、利用するライブソリューションと連携方法によって変わります。

Q. カカオシンクやアプリプッシュだけでは足りませんか。

役割が違います。カカオシンクは顧客を集める手段で、アプリプッシュやアラームトークはメッセージを届けるチャネルです。ライブのCRMでは、その間で「誰に何を送るか」を決めるライブの行動データが必要になります。

Q. ログインしていない視聴者はどうすればよいですか。

ログインしていない視聴者を、個人単位で長期間つなげるのは難しくなります。クーポン、イベント、応募など、ログイン(または会員登録)を促し、顧客が自然に識別される体験を配信の中に設計しておくと役立ちます。

Q. 配信の回数が少なくても、CRMのデータとして意味がありますか。

配信の回数より、データの密度が効きます。1回の配信でも、視聴時間、参加、クーポン、アンケート、購入といった行動が発生します。そのデータを一度きりの配信レポートで終わらせず、次のキャンペーンにつなげてください。